世界は混迷の時代です。
しかし、その背景で、テクノロジーは確実な進化を遂げていっています。目的を失い、希望を失い、正気を失い、絶望の彼方へと人々は向かっているとしても、テクノロジーはその本能の赴くままに進化を遂げ、人間を置き去りにしてその本領をますます発揮せんがごとくです。
これをディストピア的世界として見ることもできるでしょう。確かに、テクノロジーの加速的進化は社会のあり方を根本的に変えてしまうかもしれない。このパンデミックは、監視社会の足音を強め、また、AKIRAというアニメの世界で描かれた2020年の東京オリンピックの中止が、現実のものとして表出せんとした姿は、ある意味で現在の世相を表す決定的なものであったと思います。他方、「生まれながらのサイボーグ」という書籍がありますが、人は最初からこうしたテクノロジーと運命を共有するサイボーグなのかもしれません。
AKIRAでも描かれるのは、科学技術によって超能力を開発されたサイボーグ的な子どもたちでしたが、攻殻機動隊しかり、昔からテクノロジーと人の融合は様々な作品の背後に描かれてきました。ナウシカのような既存世界の崩壊・滅亡という世界線は薄くなっている(と願う)としても、SFが描く世界は、私たちが住むこの現実の「リアリティ」に気がつくきっかけになっていると思います。しかし、一般的には、この世界で現実に起きつつある、テクノロジーが導く破壊的進化(あえて進化と呼ぼう)は、潜在化されており、誰かが言挙げし、必死に訴えなければ、見えないままでもあると私は考えます。
こうした無意識の関わるテクノロジーの潜在的領域に「哲学」のメスを入れたらどうなるのだろうか。そうした興味関心からはじめた研究の成果を、実際の技術設計、研究、経営に応用するべく「『テクノロジーを哲学する』から始めよう。」をテーマに会社を立ち上げました。いつか皆様のお役に立てる日が来ることを夢見て今日も甲府で机に向かいます。
Technel合同会社 代表 七沢智樹
左:七沢(代表) 右:信原(顧問)